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三つの乾杯(Three Cheers)

小説 その他

三つの乾杯(Three Cheers)

けい

(4)

乾杯から始まる三つの物語

完結

234ページ

更新:2017/02/01

説明

 乾杯から始まる三つの物語。





「里桜(りお)。俺たちの知っていることをちゃんと話すから、よく聞け」

 長男の崇(たか)が、今まで一度も見せたことのないような真剣な眼差しで里桜を見つめた。

 次男の裕(ひろ)もグッと目に力を込めると、里桜と視線を合わせて大きく頷く。

 兄二人のただならぬ態度に、里桜はピキッと姿勢を正した。





 三つだった時間と空間が、交差点ですれ違うように交錯する。
 
 その時、物語が揺さぶりはじめる。





 石田衣良先生の小説家養成プログラム [リンク][リンク]に選出されました。(31.8.2016)

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作品レビュー

沢村 基
沢村 基さん
【作品】三つの乾杯(Three Cheers)についてのレビュー

ネタバレ

けいさん、完結お疲れ様でした。
すでに素晴らしいレビューがついていて恐縮ですが、感想を書かせてください。

今回のゼミの作品の多くが(自分も含め)導入部分は日常風景が多かったのですが、その中で高級ホテルのレストランという非日常風景、人生のハレの場を持ってきた、というのが華やかで素敵だなあ、と思っていました。

三つのテーブルを彩るヒューマンドラマが、ひとつひとつ丁寧に語られ、それぞれが細い糸で一つにつながっていくところは、「そうだったのか!」と鳥肌が立ちます。

さまざまな希望や想いをいだきながら、思い通りには生きられなかった人々。彼らがそれぞれの優しい気持ちで支えられ、前向きになっていく様子は、とても気持ちよく読めました。一夜の出来事ではあるけれど、その背景に長い人生があり、それが積みかさなってかたちづくられる奇跡……。

個人的には大樹さんが好きです。彼の優しい視点が、全体のトーンをまとめているように感じます。

推敲期間をへて、エピソードの順番もわかりやすく整理され、リアリティのある裏付け情報がさりげなくちりばめられているように感じました。
(ヘドバン講座や過去シーンへの移動がわかりやすくなったと感じます)


一つだけ気になったのは、唯人の里桜ちゃんへのカミングアウトなんですが……。
これは読者は「里桜ちゃんが、父親や兄弟と血がつながっていないことをすでに知ってる」という事実を知っていますが、演奏していた唯人はわからないのでは?

とすると、自分の養父母や兄弟が本当の家族だと信じているかもしれない娘に、いきなり「今の家族と君は血がつながっていない。本当の父は自分」と伝えることになります。唯人は悪気なくそういうことしそうなキャラだなあ、とは思うんですが、ちょっと配慮が足りない印象になるかな、と思いました。


勝手な感想を書かせていただきました。
せっかくご縁いただいたのに、今回はご一緒できず残念ですが、また創作についてやりとりさせてください。
ありがとうございました。

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2017/01/31 12:05
コメント(1)
北沢あたる
北沢あたるさん
【作品】三つの乾杯(Three Cheers)についてのレビュー

ネタバレ

高級ホテルを舞台に展開するレストランに、偶然居合わせた3組が織りなす奇跡の物語。それぞれのテーブルの乾杯から始まり、回想を経て、3組が融合していきます。

私が好きなのは定年を迎えた救命士夫婦で、娘達の招待で食事を楽しんでいるのですが、終始穏やかで2人のお互いを思い合っている雰囲気が伝わり、ほっこりしました。

あとがきに「ウソのような偶然が折り重なるつながりが書きたかった」とありますが、物語が進むに連れて、「え?ここも繋がってるの?」と思うような怒涛の偶然が押し寄せて来ます。人それぞれに様々な事情はあるけれど、家族って大事だよね。お互い想い合うって素敵だよね。そんなメッセージを感じました。

物語の舞台であるレストラン内の様子、スポットの当たる3組を中心とした周りのお客さん達の様子(私はなぜか熟女グループが気になりました笑)、一見華やかな場所での楽しそうな時間に見えるけれど、3組が抱える事情、登場人物の背景や次々と解明されていく真実、細かく設定されていて、プロット派けいさんの作業が垣間見えました。

読み終えた感想で気になった所を少々。里桜ちゃんのお父さん、昌さんが20歳になったら子供達を追い出すのはなぜだろう?と思って読んでいたのですが、しかも、本当の子供じゃないと残酷な事実を告げて。これは「かわいい子には旅をさせよ」という不器用な父親なりの愛情表現だったのでしょうか?

個人的に里桜ちゃんにはもっと激しい感情の波があっても良かったと思います。20年ぶりに突然目の前に現れた父親に、(例え自分がファンのギタリストだったとしても)素直に微笑むことが出来るだろうか?ドローン襲撃事件でパニックになった後でもあるし。

読み手としては、里桜ちゃんと離れなければならなかった唯人さんや遥さんの事情も分かりますが、里桜ちゃんは知らないはず……もっと憤慨して行き場のない思いを当たり散らしたり、泣いたりしてもいいのでは?と思いました。生意気にすみませんm(__)m

ラストは血の繋がりはないけれど、大切だと思える家族を再確認し、前を向いて歩く里桜ちゃんに、今君は人生の大きな大きな舞台に立ち、遥か長い道のりを歩き始めた君に幸せあれ!乾杯!とエールを送りたくなるような、清々しいハッピーエンドでした。昌さんを騙して自宅をシェアハウスとする件も可愛らしかったです。(最後はナガブチでしめてみました(^-^))

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2017/01/11 01:23
コメント(3)
快紗瑠@コミカライズ決定
快紗瑠@コミカライズ決定さん
【作品】三つの乾杯(Three Cheers)についてのレビュー

ネタバレ

偶然は必然であり、そして運命とは時に悪戯に縁を引き離し、そして再び結び付け合う。

読後、すぐに頭に過ったことがまさに上記のこと。

人の運命や縁というものを、同じ時間、同じ場所にいながらも、三つのテーブルで、全く知らない赤の他人として、それぞれがそれぞれの「乾杯」を交わす。

この三組のオムニバスストーリーなのかと思えば、その一つ一つのエピソードが全て点となり、一つのきっかけによって、それらが全て繋がっていく。

この見事な伏線回収は圧巻!

それぞれが、それぞれに。
重い想いを胸に抱き、そして、それらが一気に昇華され、皆が幸せになる。

時に、胸が痛くなり。
時に、胸が熱くなり。
時に、胸が切なくなる。

そんな一つ一つの過去のエピソードと、それを結びつける「今」の出会い。

ここから始まる彼らの新たなる未来。

一つ一つのテーブルにおきた乾杯が、最後には、全員の未来への祝福の祝杯となる。

ラストは、また、新しい「家族」の形も見させて頂き、思わずニンマリしちゃいました。

作者様の一語一句、かなり練られて書かれてある描写の一つ一つがとても細やかなだけでなく、想いが込められていて、とても、胸に響きました。

素敵な作品をありがとうございました。

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2017/01/05 21:31
コメント(1)

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