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有吉の報告に栄太は…
「…吉田先生?」
興味が無いのか振り向きもせず、無くなる間際の水を増やす為に腕を外へと伸した。
しかし。
その雙眸は鈍く、底光る。
「宮部さんが…へぇ。そう」
「えッ!それだけですか?」
「そんな事より、くまじろー。いい加減…髭剃ってくれない?暑苦しいっていうか見苦しい」
視線だけをチラリと流す姿は、どこか艶めいて居ながらも心底冷たい。
「俺がやってあげようか?何て絶対嫌だけど」
「…何じゃ…残念…残念!?」
自分の言葉に驚いた有吉はアワアワと口を押さえたり頭を掻いたり…
「ハァ…」
酷く不快な表情をした栄太に、チョイチョイと手招きされた有吉は、首を傾げつつ近寄った。
途端。
バシャッ
「いだッ!冷たッ!」
溜めていた水を熊の様な顔に、思い切り叩き付ける。
「水でも叩き付けたら痛いよね。それよりお前の頭の方が相当イタいけど。冷たくなんて無いだろ。温かい位だよ」
「冷たいじゃろ…先生が」
髭からポタポタと水を滴らせ、情けなく眉を下げる有吉に栄太は眉を上げる。
「床。ちゃんと掃除しなよ」
「…はい…」
帯に挟んでと言うより垂らしていた手拭いで、丹念に拭く。
が、拭いた後から…栄太が雨をピッピッと飛ばしてくるから。
「もう~!遊ばんでつかぁさいよぉ!あッ…また!」
「アハハ!」
「…もう…アハハハ!」
スパァーンッ
「おう!楽しそうながじゃ無いかえ!ハッハッハ!わしも混ぜとうせ!」
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