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「ない、ない、ない。何それ、私の時なんて、いっつも私のほうから言わなきゃなんなかったのよ」
プリプリしながら、コーヒーを口に運ぶ杏子さん。
"バレンタインデーのチョコの代わりにね"そう言って、俺の目の前にはガトーショコラのケーキが置かれている。
「へぇ……」
"今までとは違う"というエドワードに、ちょっとだけ嬉しくなる。
甘さ控えめのガトーショコラを口に運びながら、ついニヤけてしまう俺。
そんな俺の顔を見ながら、杏子さんが呆れたように言う。
「ほんと、エドワードも変わったわ。こうやって、私と隆之介くんのデートの邪魔をしにくるようになるなんてね」
「えっ!?」
そう言われて振り向くと、少しばかり不機嫌そうな顔をしたエドワードが俺たちのほうに向かって歩いてきた。
大柄な彼が歩いてくるというだけで、迫力があるというのに、その上、眉間にシワをよせているだけで、怖さが増している気がする。
それでもイケメン外国人というせいか、女性たちの視線が集中している。
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