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赤い月とマンハッタン

赤い月を『気味が悪い』と思うかい?


それとも……。


あのひとのように『綺麗』だと思うかい?

あれは大学に入った年の夏だった。
すごく暑い一日だったのを覚えてる。
夕方になってもまとわりつくような蒸し暑さだった。


俺は家路の途中だったんだ。


辺りはすっかり夜の気配。
どこかの家から夕餉の匂いと犬の鳴き声。
ふと、遠くから花火の音が聞こえた。誰かがロケット花火でもしてるらしい。


いかにも夏って感じの夕闇だ。
北国の夏は短い。
だからこそ、俺には恋しい。


気持ちいい夜だな。


そう思った矢先だった。
ふと、どす黒い空に真っ赤な月が浮かんでいるのに気づいた。


気味が悪いな。


心の中でそう呟きながら、眉をひそめる。
いつもと違う色に染まる月がなんだか怖かった。


さっきまで気分良かったのに台無しだ。

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