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 残念です。

 その男は悪びれなく平然と言い退けた。


「……あの、どういう意味でしょう」

「面接を受けたいと連絡が来たから、てっきり地元、福岡の娘だと期待したのに東京出身――。ぬか喜びです」


 これまで何度かのバイト面接を受けたことはあったけど、初対面でこんなに失礼だったことは初めてだ。


「募集、してましたよね? バイト」

「ええ、まあ」

「要項に記載はありませんでしたよね? 福岡出身に限るって」

「――はっ!」

 そして。驚きのリアクションを声に出す人も、あたしは初めて見た。


「……仕方ありません、ぼくのミスです。わざわざご足労いたただいたわけですし、採用しましょう」


 とにかく独り暮らしがしたい。

 親戚の家が近いことを言い訳に東京から飛び出して、ここ、福岡で仕送りゼロの大学生活。


 すぐにバイトが見つかるかどうか、あたし坂下 茉奈(サカシタ マナ)にとっては死活問題なのだ。

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作品に関する書籍情報

太宰府オルゴール堂 独身貴族の探偵帳

出版社:双葉社

発売日:2015/12/10

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