/ 48ページ

寒い冬の日

(1/2ページ)

寒い冬の日


養父母の娘ならば、愛してもいいですか?



俺は施設育ちだ。

産まれて数時間かって状態で、公園の物置の脇で見つかったって言うので、実の親の顔はもちろん、名前も判らない。

産まれてから9年、この施設で暮らしてきた。
知ってる大人は変に家族ぶってくる職員と、同情の色を隠さない学校の先生だけだ。
無償の愛とやらをくれる親は今頃どこで何をしてるんだろう?
施設では、虐待やなんかで預けられた子もいて、俺からしたら迎えがあるだけ羨ましい。
俺は誰も、面会にすら来ない。

だから腐っていたのは事実だ。

施設でも学校でも、町でも、誰彼構わず喧嘩を売った。
暴れて物を壊すのもしょっちゅう。
職員は時に優しく諭すように、ある時は怒鳴って叱ってくれる。
それすらうっとうしかった。
でも放っておかれたもっと暴れる、俺の方がうっとうしかったかも。

そんなある日、俺は決定的に職員と喧嘩した。
原因なんか忘れた。
とにかく腹が立って。
こんなとこにいたくねえと思って。

俺は施設を飛び出した。

もっとも本格的に準備して飛び出すと、止められるなり、誰かがついてくるなりしてしまうから。

近所のコンビニに行ってきますって体で、薄着にサンダル履きで、財布だけ持って出た。

金なんか千円ちょいしかない。

それでも俺はもうこの場所には戻らないと覚悟を決めて、飛び出した。
どうせ誰にも必要とされていないなら、死んでもいいやと思っていた。

一月の、曇り空の日だった。

/ 48ページ

寒い冬の日

(2/2ページ)

みんなが送ったスター数

263

この作品にスターを送ろう!

明日のスターも待ってます!
(1作品につき1日1回 押せます)

新着ピックアップ

急上昇ランキング|恋愛