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序章 俺とアイツと……

 
 俺は約束を果たすため、ここへ帰ってきた。

 目の前にいるその相手は、一歳年下で幼馴染の末岡天音(まつおかあまね)。一年前、俺がここを旅立った時と同じ姿でそこにいる。

 雪のように白い肌、長くてツヤのある黒い髪、丸くて大きな瞳。幼いころからずっと見てきた、人懐っこい笑みを満面に浮かべてこちらを見ている。

「うっ……く……」

 次の瞬間、俺の瞳から勝手に涙が湧き出してくる。目にゴミが入ったのか、それとも東京で暮らしていて花粉症になったのか。

 いずれにしても、久しぶりに会ったんだから泣き顔なんか見せたくない。

 ゆえに俺は必死に笑顔を作る。

「ただいま、天音……」

 か細い俺のその声は、梅の香りが漂う強い春風にかき消されてしまった。

 それでもきっと想いは伝わったはず。だって俺たちの間に言葉なんて必要ないから。その場にいるだけで全てが伝わる。



 ――だけどきちんと言葉で伝えたいことだってあるんだ!

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