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プロローグ

 まえがき

 2016年元旦。
 初夢にて。
 ある女の子が、壁のポスターと会話している夢を見た。そのポスターは女の子から「先生」と呼ばれていたが、実は失踪した彼女の父の意識が反転したものだった。すなわち、反転というからには、もう一つの世界が隣り合わせ、あるいは背中合わせに存在しているのだということを示していたのだ。
 それがわかったのは、最初に登場したその女の子が、ある男に誘拐され、監禁されていた部屋の、まさに彼女がロープでくくりつけられていたその柱の反対側、彼女と背中合わせにもう一人の女の子の姿を見たからだ。そしてそのもう一人の女の子とは、誘拐された彼女がもう一つの世界で有するもう一つの人格そのものだったのだ。
 そしてその物語では、彼女以外に両方の世界を同時に、つまり、二つの人格を持ちながら一つの意識として行き来することができる者は存在しなく、二つの世界の関連性を見出すことができるのも彼女だけだということなのだ。
 彼女は、ユングの提唱した「共時性(シンクロニシティ)」を見事に説明できる女性であり、その彼女はある日突然私の夢の中に現れたのである。
 すなわち、無意識が見えるならば、「偶然の一致」という概念を成立させている「ミッシング・リンク(失われた因果性)」が白日のもとになるということを私は感じた。
 目覚めた私は、その記憶が私の無意識に沈み込んでしまう前に、慌ててメモを取った。そして、スライド写真のようにまぶたの裏に残ったいくつかのビジョンをつなぎ合わせて行った。しかし、彼女のもたらしたメッセージの全てを理解するには、私には概念が足りなすぎた。
 今年、2017年元旦。同じことが起きた。やってきたのはその彼女ではなかったけれど、私は夢の中で気がついた。「これは一年前の続きだ」と。
 また目覚めた私は、昨年と同じようにすぐにメモを取った。
 「無限遠点のゼヱレ」はそのようにして綴られた物語である。
 

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