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あの状態から立て直したか。
だが、逃げ回るだけの余裕は残っていないようだな。
決着の瞬間がほんの少し伸びただけだ。
カイトを取り囲んでいたカトレア達が再び一斉に攻撃を仕掛けようとしたその時、1人のカトレアが何かに足首を掴まれてバランスを崩した。
転倒しそうになるのを何とか踏ん張り、自分の足首と膝を突くカイトに目をやったカトレアは自分の身に何が起こっていたのかを理解した。
「ホルダーか・・・」
見てみると、先程まで両手を床に付けていた筈のカイトが右手をカトレアに向けていた。
どうやらカイトは対象物を掴み、重力とその重さを無視して浮遊させる事が出来る魔法のホルダーをカトレアに向けて発動していたようだ。
カトレアが現在使っている夢幻という魔法はこの世界そのものの事象に干渉し、現実を使用者のイメージ通りに歪める事が出来るという極めて強力な魔法だ。
しかしこの魔法を維持するにはかなりの集中力とイメージ力を必要とする為、不意に使用者の予期していなかったような事が起こり、精神が揺さぶられたりすると簡単に効果を失ってしまうという弱点がある。
つまり不意打ちに弱いという事だ。
攻撃を受けたカイトは動けないフリをしてカトレアの油断を誘い、トドメを刺そうと動く時に生じる隙を狙っていたのだ。
狩りは獲物を仕留めようとするその瞬間、全ての神経を獲物に集中させている為に最も隙が生じやすい。
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