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「そろそろお帰りじゃないですかー?」
爺さんの家に上がってお茶を呼ばれていると、ふらりと菜切がやってきた。
この商売上手め、と晴比古は睨んだが、菜切は、
「いえいえ、雨も降ってきましたしね」
と笑っている。
「仏像を探すくらいと簡単に考えてたが、今日一日で片がつくような話じゃないじゃないか」
と晴比古がもらすと、
「それなら、少し走ったところにいい宿がありますよ」
と菜切が言ってくる。
「こんなところにか」
先生、先生、と深鈴が苦笑いして止めてきた。
「泉質のいい温泉が近くにあるからですよ」
そう菜切が言っている側から、深鈴が、へー、そうなんですか、と言いながら、携帯をいじり始める。
「いちいち、志貴にメールするなーっ」
とそれを取り上げた。
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