嘘はかろやかに

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「やめてよ、全然そんなことないんだから」 私は顔の前で大きく手を振った。 「そんなことあるわよ」 優香は私の否定を否定すると、 私の胸元に視線を移した。 「そのスカーフ、素敵」 優香は私のスカーフを指さした。 「そんな風に素敵に使いこなせるの、美尋だからだよ。私なんて絶対無理」 「何言ってるの? こんなの誰だってできるじゃない」 私は胸元のスカーフを摘まんでひらひらとさせながら笑った。 「出来ないよ。私には似合わないし。私なんかがしてたら笑われちゃう」 「そんなことないよ」 私はスカーフをわざと雑に扱うように結び目を少し緩めて形を崩した。
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