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「洞窟に閉じ込めて、ずっと大事にしてあげるよ。
僕の大切なお姫様だから」
と笑うが。
いや、大切なお姫様を洞窟に閉じ込めるとかどうなんだ、と思っていると、旅館の廊下にあるドアを開けながら志貴は照れたように呼びかけてきた。
「亮灯……」
「なあに?」
「今日はその……君の部屋に泊まってもいい?」
いや……今、洞窟に閉じ込めるとか非道なことを言っておいて、その程度のことで照れるとかどうなんですか、と思いながらも。
こういうところが好きかもとか、可愛いかも、とか思ってしまう私は、きっと、ちょっとおかしいのだろうな、と思っていた。
「……いいよ」
と赤くなりながらも、小さく囁き、深鈴は自分の部屋の鍵を開けた。
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