イベントSS(1)

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「いらない。っていうか、リュウノスケも食べるな」 「へ?」 「それ、杏子からのだろ」 「え?あ、はぁ、バレンタインだからって」 「だから、ダメだって言ってる」 「え?」 そう言うと、強引に俺の襟足に手をまわすと、グイッと顔を寄せてきた。 おいおいっ、ここ、普通に昼間のカフェなんですけど。 この様子に、女性たちの"キャァッ!"という黄色い声があがる。 「リュウノスケが食べるのは、俺のプレゼントするチョコレートだけ」 額を重ねて、俺の目を覗き込む青い瞳。 何度も見ているというのに、いつもこの瞳に吸い込まれそうになる。 サワサワと軽く揉むように動く襟足にまわされた指先に、思わずゾクリとする。 彼の指の感触だけで、色んな記憶を思い出してしまうのだ。 「わ、わかった……」 顔を真っ赤にしながら、俺は小さく返事をすると、ようやくエドワードが満面の笑みを見せた。 その笑顔だけで、ドキドキしてしまう。 エドワードの額が離れて、ホッとした瞬間。
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