細流の道 弐

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可愛い寝顔に掛かる、髪を指で避ける。 座り込んでいる俺は、暫く胡座の上に頬杖を着きながら、癒される寝顔を只…見つめていた。 どれくらい見ていただろう。 時間にすれば恐らく、四半時も経っちゃいねぇ筈だ。 身体中の力が抜けて、酷い猫背の様になっていた俺に酷い睡魔が寄って来る。 明日は大坂だ。 早く休まねぇとな。 欠伸を一つ、盛大に出した俺は頬杖を外し自分の部屋へ帰る。 『…フッ』 筈ねぇだろが。 『邪魔するぜ』 ペイッと掛け蒲団を捲ると、小さく丸くなって寝ている莉亜の隣に陣取る。 着物は皺くちゃになるが… どうでも良いさ。 鼻で笑うと莉亜の枕を奪いつつ上手く腕を差し込む事に成功。 小さくも柔らかな身体に残りの腕を巻き付けて、愛しい存在に顔も寄せる。 つかよ… 『なぁ?起きても良くね?』 結構…乱暴にしたんだが? 何で起きねぇかな。 『ククッ…』 あ~…参る。 俺の腕でスピ~スピ~と寝息を立てるコイツが…可愛くて仕方ねぇ。 『何でピ~ピ~鳴るんだ?』 今まで寝顔は何度か見たが… 眼前にある無防備な顔に問い掛けても、当然答えは無く。 ピ~音が…妙に可笑しくなり、身体に巻き付けていた手で口を覆い、必死に笑いを堪える。 ヤバイ…つ…ツボに… 『ッ…く…ッ…ブハッ』 「……んぇ?」
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