第二章 昔の事件

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   深鈴が部屋に居ると、誰かがノックしてきた。  志貴ではないようだ。  深鈴の部屋をノックするにしては、叩き方があまり陽気でなかったからだ。  魚眼レンズから確かめ、ドアを開ける。  晴比古が立っていた。  怪しい間男のように、周囲を気にしながら入ってくるなり、小声で言った。 「深鈴。  まずい。  早く犯人を捕まえるんだ」 「そうですね」  志貴は、本気だぞ、と自分と同じことを言ってくる。 「あいつより先に犯人を見つけるんだっ」  さあ、推理しろっ、と言ってくる。 「先生、丸投げですか……。  っていうか、なんで小声なんです?」
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