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上山悠香はクラスではまったく目立たない地味な子で、友人もいるのかいないのかはっきりしない。
休憩中は静かに読書をしているし、誰かと騒いでいるような様子を見たことがない。
けれど、仲間外れにされているとか、いじめられているとか、そう言った様子はなく、移動授業のときはクラスメートと普通に仲良さげに話しながら移動している。
ただ、存在感が薄いだけで。
しかし、その個性は強烈である。
彼女はたびたび質問をしに来るのだが、だいたいほとんどわかっていることが多い。
それでも少しの疑問を解消させるためか、わざわざ俺のところに来る。
そして納得のいく答えが得られないと険しい顔をして帰っていく。
まるで、あなたでは話になりません、とでも言うかのように。
「あーもう、難しいなあ」
机に座って頭を抱えていると、別の数学の先生に声をかけられる。
「彼女は勉強熱心なんですね」
「熱心なのはわかりますけど、何を考えているのかわからないんですよ」
「お年頃の女子は難しいですからねえ」
「そうですかね」
他の子たちは気軽に話しかけてくれるし、おとなしい子でもこちらから話しかければ応答はある。
上山の場合は、俺に対しての態度だけあからさまに違うということ。
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