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第四話 お刺身
銃の手入れも終わり、最後の仕上げとでもいうかのように、グリップ部分に施されている彫刻をナターシャはひと撫でした。荘厳な紋様と一緒に、〈選ばれし者〉にしか見ることのできない文字がそこには刻まれている。
「ゲオルグ」
ナターシャがぽつりと呟くと、銃はそれに呼応するかのように魔力による熱を発した。――〈ゲオルグ〉、それはナターシャの旅の相棒であり、この世界に唯一残された〈神より賜りし魔装具〉でもある拳銃の名であった。
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