case4: 右脇奈々

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手が震える。 この先のことを考えるのが怖すぎて震える。 人には人の生まれ持って備わった形がある。 もしそれがズレれば……人の身体は対応出来なくなる。 ただ私の身体は何も変化が無い。 ただ寧々に入れ変わって判断されるというだけ。 それはどういうこと? 私たちは双子だ。 少なくても、このブログに書いている人よりはズレが少ないだろう。 もしも、備わったものがズレずに入ったとしたら……。 寧々はどうなるのだろう。 心臓がドクドク鳴って震えが止まらない。 私は怖くなって家を飛び出した。 いやだ、いやだ……。 すると、家を出たところで母親とバッタリ会った。 「寧々、どうして先帰っちゃうのよ」 寧々じゃない。 「今日変よ、いつもそんなことなかったじゃない。やっぱり寧々、疲れてるのね」 寧々じゃないってば!
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