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「…結構キツイぞそれ…何かしら情報ないのか?」
「例えば?」
「どこで見っけたとか…。」
「…崖の下…。」
「は?」
「お前今日暇か?」
「まぁ…。」
「じゃあ今日もそこに行くつもりだったからついてこい。」
「…話しかけろよ…。」
俺は琢磨の言葉を無視した。
「面白い話してたね。」
「…聞いてたのか…。」
「だって響が惚れた子だよ?見たいじゃん!」
そう言って真司が俺達に近づいてくる。
……俺かなり方向性の違う友達をもったな…。
改めてそう思う。
琢磨は完全にストレートに物事を伝える。
真司はストレートに言うものの、どこか裏のある伝え方をする。
取り敢えず、俺はともかくこの二人が仲良くなれたのが驚きだ。
「僕もついてこーっと。」
「…勝手にしろ。」
******
「いなくね?」
「いないね。」
「……。」
学校が終わった放課後、俺と琢磨、真司はあの公園に来ていた。
かれこれ三十分くらい崖の下を見ているが、女の子はいっこうに現れない。
「今日は来ないんじゃね?」
「もしくはもう帰っちゃったとか。」
「……。」
……さすがに…毎日は来てないか……。
半ば諦めて帰ろうと思い、崖の下から目を離した、その瞬間だった。
「キャアッ!」
「っ!」
慌てて崖の下に視線を戻す。
「…あれ風邪ひかね?」
「波にやられたのかな?」
「……。」
「響どうした?」
「響?」
二人の声には全く応じず、俺はそこにいる人物を見つめた。
……来た…。
どうやら波をかぶってしまったらしく、びしょ濡れになっている。
「……。」
「響…。」
「何だ?」
真司が苦笑いを浮かべながら俺に話しかけてきた。
「まさか…あの子?」
指さしながら、まるでマジでと言ってるかのような表情で俺を見つめてくる。
「…ああ。」
「嘘でしょ…。」
「響…確かにお前の周りには嫌な女ばっかだけど……。」
「あそこまで小さい子は…ちょっと……。」
「殴るぞ?」
「「ごめんなさい。」」
……おかしい…のか?
でも確かにおかしいと言われればおかしいかもしれない。
社会人になれば上司と部下とかで年の差は別にいいとかなるけど俺とあの女の子は高校生とおそらく小学生だ。
周りから見たら俺は結構危ないのかもしれない。
でも…。
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