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『さくと書いてはじめ。』
帰宅してからもぼんやりしている月子の顔を娘が覗き込んだ。
『なんだ、それ。』
『うーん。もう恋はしないと決めたはずなんだけども。』
『またなの?もう恋愛なんて歳じゃないわよ?』
もう大人になった娘の厳しいひと言で月子は目覚めたかのようにキッチンに立った。
『今日がハンバーグだと知っても美結はそんな事を言ってられるのかな?』
そっと見ていると、なんの苦労も感じさせない母娘の会話のようだけれど。
シングル家庭にしては明るい方だと思う。そんな成宮家には苦労して育てた大切な娘がいる。
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