小説の基本性能はパワーと技術の積で概ね算出できる。  パワーとは一言で言うならその作品に込められている作者の思いの量(濃さ・強さ・深さの総和)ということになるが、そういう意味で言うと、この作品には重量級のパワーがあると思う。  ただし、パワーだけならば、この作品とほぼ等価な熱量を持つ作品はネット上にそれほど珍しくはない。特に人の心の闇を表現したくて書かれた作品には、侮れないパワーを持つものが以外なほど多い(パワーには様々な種類があるが、負のベクトルを持ったパワーのほうが小説と結びつきやすい傾向があるようだ)。  特筆すべきはむしろ技術の方かも知れない。  このような負のパワーを持った作品はネット上に少なくないと書いたが、その大部分はパワーが直に伝わっていない。読者にその思いを伝えるための技術が不足しているからだ。力が外側に逃げてしまい、読者に伝わるパワーは半分以下になってしまっている作品がそこらじゅうに氾濫している。その中にあって、この作品は技術面において群を抜いている。一人一人丁寧に書き込まれた人物像、一つ一つの出来事が緻密に計算された上で構築された見事なストーリー、そして一見地味に見えるが練りこまれた非凡な文章。最初に小説の基本性能はパワーと技術の積であるということを書いたが、この作品は力・技、どちらも十分な値を持っている。  それほど深い闇を心に抱えているわけでもなく、どちらかというとブンガクよりエンタメを書いている(しかもオッサンw)私は本来ならこの作品の読者としては不適格だろう。その不向きな読者でも最後まで読ませてしまうだけの卓抜した技量をこの作者は持っている。  唯一この作品に難癖をつけるとしたら、書式(フォーマット)だろうか。文と文との間に3行ほどの空行を入れたこの書式は明らかにケータイで読まれることを想定しているが、キャラ・ストーリー・文体などから考えても、これは普段ほとんど本を読まない若者に向けて書かれたケータイ小説ではあるまい。紙媒体か、あるいは電子媒体ならデスクトップPCでじっくり読むべき作品であろう。エブリスタという場所柄を考えると致し方ない面もあるが、これだけの作品をこういう書式で掲載することには賛同できない。作品が泣いている。  復讐日記・本編のレビューでした。  引き続きサイドストーリーのほうも読ませて頂きます。  
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マッシーさん。 大変に熱のある素敵なレビューをいただき、とても光栄に思っております。 もっともっと魅力のある物語を書けるように頑張ろう!と奮い立たせてもらいました。 本当に感謝ですm(__)m マッシーさんの『幻魔剣記』のほうはまだ読み始めですが、非常に練りこまれたプロットと、高い文章テクニックを感じております。 じっくりと咀嚼しながら読み解かせてもらおうと思います。 (ベルセルクは私もとても好きな作品です。) お互いにがんばって、これからもエブリスタを盛り上げましょうね☆ ありがとうございます!

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