むらさき

誰もが主人公 それが、この小説を読んでの第一の感想でした まだ10代という若さと人生経験の浅さ…こうさんの友達を思いやる気持ちと、女性の心の明るさと裏合わせの陰の複雑さを知るよしもない無邪気さ 美鈴さんの絶望的な心の内 白石さんの愚かさと卑怯さを責めたくなる一方、不器用さは認めたくなりました だからといって、白石さんの行為、行動は、10代だからで済まされるものではないですが 真っ直ぐで、ひた向きなこうさんに惹かれた白石さんの気持ちは分かります 大人でも逃げ出したくなるような出来事に、正面から向かい合って乗り越えてきた、こうさんの精神力の強さと、心に傷を持ちながらも…持っているからこそ、優しく他人(ひと)に手を差しのべ、人として一番難しいと思われる『赦す』事を選択した、こうさんには、心から敬意を表します 行き場をなくした想いの哀れさ、友達の憎しみ、受け入れ難い、こうさんの心中を思った時、鋭い刃物で抉られるような思いに、押し潰されそうで、歯がゆくもありました 第三者の私でさえ、こんな沸き上がる感情でしたから、当事者のこうさんは… 救いは、こうさんが皆に大切にされ、愛されている事、優しさと暖かい心を持ち、とても男らしいという事 こうさんの、国語力と日本語の表現力には、脱帽です とても衝撃を受けましたが、読み応えがあり、大変深く考えさせられた、秀逸な小説でした ありがとうございました 最後に、皆が幸せに暮らしている事を祈るだけです

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