廃人やね

咲来「……ふん、まあ気が向いた時にな」 黒保根「なんか一方的に精神病患者を助ける事を強要してるみたいで悪いな。ただ、少なくとも俺はそんな傲慢な人間だからさ、それくらいしか言えない訳だ」 咲来「お前らも大変なんだな」 黒保根「そうだな。……こういう時人間不信はやりにくいな」 咲来「どういう事だ?」 黒保根「人間不信は簡単に言えば人間を信じられない。だからこそ自分中心の思考になるんだ。そして思考が極端になって自虐ネタとかも安易に使えない訳だ」 咲来「要はマイナスになるような冗談も言えない訳か。相当やりにくいな」 妄想癖、人間不信、傲慢、思考が極端……現実逃避みたいな感じか? いや、現実逃避を一般的に考えるのは違う。精神病的には……支配か。 つまり、コイツは自分の妄想に支配されている。出会った時の様子だと現実と妄想の区別がつかないほどに支配されている。 全ては他人が信じられないというだけで。他人が信じられないから信じられるのは自分だけだと思い込み、自分しか信じられないから自分の非を認める訳にもいかない。そんな自由の無いものは支配と言ってもいい。 どれだけ理不尽か、どれだけやりきれないか、俺達健常者には到底理解出来ない。 だが、皮肉にもコイツを助ける事が出来るのも人間なのだ。

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