女性から見た「理想の男性像」と男性から見た「理想の女性像」は、時に相反することがあると言われます。  今作のヒロインは、ある意味で「恋愛に対して醒めた」感情を持つ一方で、かつて心をときめかせてくれた男性の、大人の魅力を忘れることが出来ず、その「香り」を追い掛けている様な人物像です。  駆け引きや、嫉妬。特に煌びやかな舞台立ての中で、自分の知らない想い人の隠された素顔や言葉に接する度、背徳感と形容し難い心地良さに悩まされる……  こういった内面描写(心情)にシンパシーを持てるよう、丁寧かつ詳細に書かれたディテールや、組み上げられたプロットは(今回の第3回ノベリスタ大賞の審査対象である)第1エピソードに、鮮やかなアヴァン・タイトルとして活きています。  難を言えば、ヒロインに対し(また男性サイドに対しても)真っ向から反発心を覚えてしまう読者もいるかも知れませんが、むしろそれすらも武器に成り得るでしょう。  続きが気になる極上の大人っぽい恋物語です。
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熊川なおたかさん 私の拙い作品をお読みくださりありがとうございます! 決して甘くはない女性向けの恋愛小説、仰るとおり反発感を誘う作品です。イヤミス(読んで嫌な気分になるミステリー)という言葉があるなら、読んで嫌な気分になる恋愛小説を狙って書きました。しかしながら、主人公真梨夏の自分を卑下する態度、周りへの嫉妬……女性なら多少は共感するところはあるのでは?とも思って書いた部分はあります。そのあたりを汲み取っていただけて嬉しいです。 素敵なレビューをありがとうございました。
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