大輔

応援レビューを残させて頂きます。 まず惹かれたのは、タイトルでした。 『妹と僕の森』果たしてどんな物語なのか? 童話?絵本のカテゴリーということもあり、エブリではあまり見ない作風だと感じました。 果たしてその予想はズバリ。作者様の個性をこれでもかと出した作風。 悲しくも美しい兄妹のお話を、作者様の細かな情景描写が上手く表現されていた作品でした。 蟲に憑かれた妹。白く染まった髪や白い素肌は、なるほど美しく見えるかもしれません。ですが、他人にはそう見えても、自分達からすれば他者との異質さを感じてしまう部分でした。 妹にパンを渡すシーン一つとっても、硬くなってしまったパンを美味しいと言ってくれる妹。支えてくれる兄への思いからか、はたまた身体中を蝕む痛みから味覚も消えかけているのか、考えさせられる場面でした。 蛾になってしまった妹を追いかけるラスト。いや、蛾ではなく、妹の背中を追う兄の姿。 苦しんで苦しんで、支えてくれた兄の前で最後の瞬間を見せたくないという妹の気持ちが痛いほど伝わって来ました。 一つ一つの場面が細かく、丁寧に表現されていて、短編だということを忘れていつまでも読みたくなる作品でした。 素敵な作品を、ありがとうございました。

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