桐生

吾妻栄子さん ここでは「消失点のピエロ」を読んだ感想を書かせていただきます。 文学に乏しい一個人の感想ですので、その辺ご了承いただけたらと思います。 私が「消失点のピエロ」を読んで感じたことは3点です。 1つ目は、ストーリー全体を通して感じたことです。話の中盤、「あの人」達とのやり取りを回想している辺りから続きが気になり作品にのめり込んで行くのを感じました。死にたいと思うほどってどんな仕打ちを受けてきたの?どういう経緯でいじめの対象になったの?という疑問が常に頭のなかにある状態で話が進み、中盤から終盤に向けてその疑問が解決できていくために、深くのめり込むことが出来たのかなと思います。これは、吾妻さんの意図なのでしょうか。しかし、逆になのですが、話の序盤の方ではやや想像力を膨らませるのに努力を要しました。序盤での電車内における現在と過去の回想の切り替わりがわかりにくいと感じる箇所がありました。そのために始めの方で作品の世界観を想像するのに苦労した部分もあります。 2つ目は、主人公の冷静さについてです。作品を読んでいくなかで、自殺しようとしている人はこんなにも冷静なものなのか?と疑問を持っていましたが、主人公が本当はまだ死にたくないのだと気付く場面で、ようやくこれまでの冷静さについては納得できました。しかし、その後の死を覚悟する場面で、自分の行動がすべて裏目に出ていることを笑い、目を閉じて死を受け入れるものなのかと、やや不自然さを感じました。 3つ目は、「消失点のピエロ」という作品の深さを十分に理解できていない悔しさです。 作品名にも、また作品内でも登場する消失点という言葉。消失点は電車での遠方への移動を想像させるものなのか、でも作品名から考えて「あの人」と遥か向こう側で繋がってしまったということなのか、などといろいろと考えてみたのですが、私のなかでその答えを見つけることができませんでした。そういった自分の読解力や想像力のなさに悔しさを覚えるほど深い作品なのだと、素人なりに感じさせていただきました。 3つと言ったのですが、その他にも「あの人」をピエロに置き換えることで独特の恐怖感を抱かせる点や、いじめという難しいテーマを最近話題となった実際の事件を使って表現している点など、本当に興味深く読ませていただきました。
1件・2件
桐生さん 拙作のご高覧及びレビューありがとうございます。 丁寧な読み込みに敬服します。 本編では敢えてエピソードの時系列を崩した構成でして、 遺書を綴る段階まで核心部は敢えて隠した書き方をしています。 ただ、確かに電車の場面では現在と過去の回想の切り替えが少し分かりづらかったですね。 この点については可能であれば改稿も視野に入れて再考します。 遺書を書き終えてから崖から転落するまでの心理的な推移についても同様です。 「消失点」は本来平行なはずの二本の線が第三者の視野では交わって見える点なので、そこに悠太と「あの人」たちの関係性を投影しました。 傍目には同じ不良グループとして一緒に行動
1件1件
吾妻さん 作品の丁寧な解説ありがとうございます。 おかげ様で、私のなかだけでは解決できなかった部分をスッキリさせることができました。 また、作品の本質に触れることが出来たように感じ、大変嬉しく思いました。 私も繰り返しとなってしまうのですが、吾妻さんの作品に出会えて本当によかったです。 ありがとうございました。

/1ページ

1件