たすう存在

ずっとこの世界に入っていたいと感じる空気感でした。 何がどうしてなのかも分からず、また感じている感触が心地よさなのか郷愁なのか不安感なのかもうまく形容できないのですが(←まったくレビューになっていない)、僕はこの作品を満たしている感覚がとても好きです。 こういった感覚を与えてくれる作品はマレにあるのですが、いつも好きだと思うだけで、その正体は見極められないのです。 そして色を描くことで、小説はこれほど美しくなるのかと感嘆もしました。 白い雪に透けてしまいそうな白の雫。 白い雪の中にあればよりクッキリとその存在が際立つ黒の炎彬。 それぞれの背景も不明なままに少しずつ深まっていく心の交感。 交わされるのは時に意味深ではあるけれども当たり障りのない言葉たち。 真っ白な景色の中で際立つ墨黒は、ほんの僅か動いただけでも、とても印象深く見えます。 言葉で多くが語られないからこそ、雫も、そして炎彬もよりその心の動きが際立って感じられました。 そしてさらに印象的な色彩が、薔薇の朱色の花弁にふわりと乗る白い雪。 無粋に言ってしまえば、これは炎彬の気持ち(もちろん他国の文化も調べました)に寄り添った雫の心なのでしょうか。 素敵な作品をありがとうございました。
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レビューありがとうございます。 マレが良いマレであれば良いのですが。 背景を書かずにどこまで伝えられるか試したかった作品でもあります(おかげで清瀬さんの負担大)。なのでそう言って頂けると安心しました。 そして薔薇の意味まで調べてくださってありがとうございます。これは嬉しい。 あとがきで書こうかと思いましたが、それこそ無粋に感じてやめました(笑) 楽しいイベントをありがとうございました!

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