美森 萠

私はこの作品の『夏希側』の物語を担当したので、自分が夏希を通して見ていた要の姿と、雑音さんが描く実際の要の姿との違いを楽しみながら(「おおぅ、そんなことを考えていたのか、要よ!」とか思いながら(笑))読ませていただきました。 二人が共に過ごすシーンは一緒に話し合いプロットを作りましたが、それ以外の要のプライベートな部分、彼が何に悩み、どんな想いを抱えているのかは、雑音さんの作品を読むまで知らなかったので、読み終えたときは、まるであちこち欠けていたパズルのピースが全てぴたりとはまったような感覚を覚えました。 定まらない自分の未来、兄との軋轢、大切に思っているけれど、ほんの少し心を重くもする家族の存在。周りに言われるまま家業を手伝う要が、漠然と過ごす毎日に僅かな不安と疑問を覚え始めた頃出逢ったのが、夏希だったんですね。 女一人で画廊を経営し、ばりばりと仕事をこなす夏希の姿は、様々なしがらみに縛られ不安定な場所にいる要には、きっと眩しく映ったことでしょう。 初めこそ、まるでゲームを攻略するかのように夏希を落とすことを楽しんでいる要ですが、夏希の弱さ、脆さを知るにつれ夏希への想いを深めていきます。一方夏希も、要といることに安らぎを得ているようですが、肝心な場面では要に心の内を隠してしまう。素直な気持ちを見せない夏希に苛立ちつつ、要は自分を不甲斐なくも感じている。夏希の心を振り向かせるため、おそらく無意識でしょうが、彼はそれまでの定まらない自分を恥じ、これまで衝突することを避けて来た兄と腹を割って話をし、家族に素直な想いをぶつけます。 夏希を想うようになり、要は少しずつ成長し、自分の人生に一つ区切りをつけます。 そして、要はいなくなってしまった夏希を探し出し再会するのですが、夏希側の物語を描いていた私としては、要本人でも、ぶっきらぼうなようで実は家族想いの兄でも、ご両親でもいい。お願いだから、要のこの成長物語を夏希にも教えてあげてください!! と思うのです。自分に会うために、要はこんなにも色々なものを乗り越えて来たのだと夏希にもぜひ知ってもらいたい。 要側の物語を知ったとき、間違いなく夏希は、もう一度彼に恋に落ちるはずだと、夏希の生みの親である私は思うのです。
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今回のコラボに当たって、私がまず最初に決めていたのは 夏希sideを書いているみもりんにまず、「ええっ! 影でそんなことを!」と胸キュンさせるのが目的でしたw 同時に、夏希の知らないところで要が何を考え、どう行動するかがキーであったと思います。 そして、いなくなった彼女を迎えに行くには成長した要でなくては動けなかった。 夏希との出会いは、家族との問題に要が立ち向かうために必要なものだったし、出会いがなければ要は何一つ成長することもできなかったと思います。 そして、要の成長物語をぜひ夏希に……ということですが…… 男の子は女の知らないところで成長してこそカッコイイと思うので 夏希
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