藤白 圭

淡々と描かれて行く遺品整理。 その中にある秘密がまさか……。 「おかえり」と「墓場までもっていく秘密」の両方共が、こんなにも重々しく主人公にのしかかり、既にもう、後戻りのできないところまで来ているとは、一体誰が想像しただろうか? 穏やかで、安心出来る言葉である筈の「おかえり」の意味が、主人公にとっては、別の意味での「おかえり」とも聞こえるようになったであろう。 自分自身の過ちではないだけに、この秘密は重すぎる。 そして、自分自身も彼女に惹かれたのは、互いに入っている「血」のなせるわざなのかも……とも思うと、なんとも言えない気持ちになりました。 重く切なく、それでいて幸せを願いたくなる作品をありがとうございます。
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快紗瑠さんへ 私が描写しなかった部分をも切り取ってレビューして頂きまして、本当にありがとうございます。 実は、この作品を書くきっかけは、 司馬遼太郎氏の「この国のかたち 二」に収録されている「婚姻雑話」というエッセイでした。 羊飼い達が、「同性は婚せず」というタブーを羊の性の営みの中で知っていたという書きだしから始まり、 生物学的に近親交配が良い結果をうまないことが自然に人の文化にも禁忌(タブー)として組み入れられたという論旨なのですが、一方で時代は下り朱子学が栄えた東アジアでは、日本や朝鮮、中国とそれぞれ婚姻に対するタブーの捉え方に差があると述べられています。 このエッセイを読んで、モラ

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