早川素子

この作品に描かれている問いは、ずーっと昔、私が考えていたことでした。今も、半端に知識を付けたせいか新たに疑問だらけです。なので、すごくよく分かる。 この話を読んで、幸村誠さんという作家の漫画・アニメ、【プラネテス】が浮かびました。 これは、今の私の疑問がそのまま織り込まれている作品です。むしろ、これを読んだからこの問いを続けているのかもしれません。 自分の限界ってどこだろう。地球を外から観たとき、国境なんて見えないのに、どうして国というもので別れているのだろう。自分とはなんだろう。他人ってなんだろう。 考え出した途端、足元が不意にぐらつく感覚というのでしょうか。 説明できるものは沢山あります。けれど、そもそもその説明をしている人や物ですら、他のもっと別の何者かの作り物でしかないんじゃないかというのが、この作品に描かれているものなのだと思います。 子供の感性というのはすごく純粋で、無邪気です。故に、鋭利な刃物にもなり得る。 考えさせられる作品でもあったし、ぞくっとする作品でもありました。 ただ、ネジが見えてしまった瞬間があったからこそ描けるお話だったと思うんですが、現実的な話の中に非現的な瞬間が入るので、「なんだ、結局空想の世界かぁ」と思ってしまいました。ファンタジーというのか、オカルトというのか。 せっかくだから、すべて現実的な作品でまとめて欲しかったというのが、私の個人的な意見です。好みの問題なので、作品としての良し悪しではないかと思います。 とはいえ、初めて小説でこういった題材で書かれているものをちゃんと読みました。私も、心にあるものを物語で提示して、不特定多数の読者に考えさせられるような作品を作ってみたいと思いました。いい刺激をありがとうございました。

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