岡田朔

ねこじゃんイベにご参加頂きありがとうございました。 以下は私の個人的な感じ方なので、作者の意図とは異なるのかもしれません。 そしてミステリの内容とはあまり関係ない部分ではあるのですが、個人的に何度か読んでいてこの物語の一番大切な部分は密室殺人の謎を解く本編ではなく、猫によって語られる冒頭とラストなのではないかなと思ったので、思ったことをただの感想として書かせて頂くことにしました。 冒頭に出てくる猫から見たアンドロイドは、文章上に書かれた機械的で人間としては不完全な描写とは裏腹に、どことなく女性らしさの片鱗を見せています。 対して本編で人間から見たアンドロイドは成長をみせ、リーダーから性てき暴行を受けそうになったり、姉や恋人の面影を感じ取らせているにも関わらず、機械の冷たさやぎこちなさが目につき女性らしさや人間性を感じません。 ラストでアンドロイドは人間から明日死ぬことを予告されるわけですが、そこには処分するといった意味合いが強く感じられ、処分ではなく死ぬとわざわざ人間たちが表現したことに違和感を覚えるほどです。 でも猫の見るアンドロイドはより女性らしくなっていて、猫のとる態度の変化に明日彼女は確かに死ぬんだなと感傷的な気分にさせられます。 つまりアンドロイドの言葉や動き、質感などの描写が、見る側の心の中を表しているように思えたのです。 ただの猫でしかないと悟った猫こそ世の中の偽りのない本当の姿を見ていて、アンドロイドを作ったり管理している者として上位に立っているつもりの人間たちは、自身の中にある複雑な感情が邪魔して捻じ曲げた見方をしてしまっている―――そんな風に感じました。 なんだか上手くまとまらなくて申し訳ないのですが、ミステリとして読んでも勿論面白いと思うのですが、それぞれの世界の見え方を考えながら読むとなかなか深い話だなあと思わされます。 素敵な物語をありがとうございました。
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