赤羽道夫

幽閉されていたマイケルを救ったひとみに対し、全面的に心を許したくても、人間ではない、という事実に揺れ動く。 前作と同様、ひとみに翻弄されるマイケルですが、マイケル自身も自らがバンパイアに変化していく不安にさいなまれていくのは、前作以上に深刻な展開。ただ、それが浮き世離れしているので、滑稽に感じられます。 しかし、物語後半で、たとえ姿形が人間でなくとも愛し続けられるか、という重いテーマが表出し、これまでの展開から大きく変わり、あっと言わせます。 果たして二人の関係は、という葛藤が描かれるのかと思いきや、実にあっけなく物語が終わってしまうのは、どこか食べたりなさを感じました。 全体的にあっさり書きすぎの感があり、もっと丁寧に心理描写を書いても、スピード感は損なわれないのに、と思いました。
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