藤白 圭

自分がストーカーをされていたら、どんな行動をとるのか。 そう考えた時、この物語に登場する主人公の、どこまでも冷静で、狂った思考を理解しきっている部分に「異常」さを感じる。 彼は被害者の筈。 けれど、何かがおかしい。 読み進め、その答えに辿り着いた時、彼は被害者から加害者に変わる。 正常と異常。 普通と普通ではない。 その境界線というものは一体どこにあるのか。 それは、個人個人によって違うのだから、一概に言えるわけではない。 けれど、主人公は、自分の「異常性」を理解している時点で、まだ、「正常」であり、「普通」に日常を過ごしていけるわけだ。 そう。 「殺人はいけないんだ」 そんな認識が出来るくらいには、彼は精神がマトモなのだから。 サスペンスチックでスリリングな展開でありながらも、深みのある物語。 こういうの好きです。
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