佐崎らいむ

『紋章官の家』シリーズは、毎回とても楽しみに読ませていただいているのですが、今回の『シニスターの槍』は、私の好きな『舞台』が絡んでいたので特に前のめりでした。 このシリーズ。物語の雰囲気や語り口がとても好きなのですが、この癖のあるピエロ(ジャック)が現れた時点で、すでに特別面白くなる予感がびりびり。 自分には全く知識の無かった紋章学ですが、少しずつその存在意義や背負った背景などが見えて来るとともに、物語の中で起こりつつある微細な出来事、ジャックが語る言葉の端々にリンクしていき、ぐいぐいのめり込んでしまいました。 アイアランドの事を語るジャックの口ぶりにはどこかいつもと違う雰囲気を感じたのですが、そのあと後半であのシーンへ行く流れがとても劇的でした。 道化者、真意の見えない謎な存在だったジャックの心が見えた辺りで、じーーんときました。 紋章のシニスターとデキスターと言う、日本人(とくに私)には分からなかったUKの人々のこだわり、(言い換えれば固執?)を見事に反映させた物語。そして新聞やペンといった小物の使い方も素晴らしかったです。 贋作者の戯曲の真偽は面白おかしく楽しんだ人々も、紋章の真偽は笑って見過すことができず、口をつぐんだというエピソードの中に、改めて人々の中に根付いたこの紋章と言う「格式」を再確認しました。 ヘラルド……いや、この物語の語り部である主人公の人柄もとても好みで、このあと彼がまたどんな物語に絡んで行くのか、とても楽しみです。 続きも、また(超遅読ですが)楽しく追わせていただきますね。
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うわーん! limeさん ありがとうございますー。・゚・(*ノД`*)・゚・。 物語や人物たちの細かい心情、そしてクリエイターならではの視点 何よりも、このシリーズの要である『紋章の存在意義』を考えてくださり、本当に嬉しいです。 今作のラスト、読まれた方みなさんがジャックの行く末を案じてくださるのですが(;´∀`) limeさんの中で、ジャックが後悔のない道を歩んでくれているといいな。 他のところで思いきりふざけてる場合じゃない! こっちも書き進めねば! ……なんて、改めて反省してます(本当か?) 執筆でお忙しい中、閲覧とレビューにお時間を割いてくださり本当にありがとうございます(。^

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