あおい 千隼

レビュー失礼致します。 (応援) 大阪という町の、とかく日常の様々なものに命を懸ける、まさに執念とも言うべき人々の生きざまを描いたお話です。 損得勘定は速やかにおこない、表で笑い裡で腹を探る、素晴らしい登場人物たち。 なるほどこんなひと隣に住んでるなと、ふと思わせる描写の数々。 笑いあり悔し涙ありと、拝読してますと口にだしつっ込み、唸ってしまいます。 スーパーへは割り引き時間を狙い、死闘を繰り広げる争奪戦に、その商品に手を伸ばすか否かで、勝敗が決まるという、手に汗握る主婦の戦場。 クーポンは使う順を違えると命取りに、たはまた井戸端仲間より得をすれば、腹のなかでトロフィーを掲げ優勝に浸るという。 刹那の勝ち負けに生きる大阪の女性を、生温かく遠巻きに見守る男性陣。 我が彼女もいづれああなるのかと、未来を想起しては胸焼けを起こす、ヒエラルキーの最下層に位置する彼らに、憐憫の情を抱かずにはいられません。 笑い、歯軋りをし、また笑う。 義理人情に厚く涙もろい、そんなキャラクターたちが作品に華を添えています。 作者様の人柄が十二分に味わえる、笑い転げ、たこ焼きも転がる、素敵なお話でございます。 是非とも『すずりワールド』に浸ってみてはいかがでしょうか。 有り難うございました。
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