ナナヤシキ

「私は現実(せかい)を侵す者。この仮想(せかい)と同じように、貴様らのいる世界を破壊する。そう、私の名は──ワールドハッカー」 「君が世界を壊すなら、僕は君を破壊する。大切なものを失う痛みは、もうこれ以上知りたくないから」 「これは復讐だ。私はクロウ・カズキへ復讐する。お前のせいで、まだ私の世界(じごく)は終わらない。お前のエゴが、永遠に私を軋ませた!」 「人とかデータとか関係なく、僕らは皆分かり合うことができるんだって解った。──だから逃げない。僕は彼女に会いに行く。彼女の“想い”に僕は応えに行くよ、フタヒ」 「死ぬためだけに作られた私の苦しみがお前なんかに分かるものか!この世界がある限り、私は永遠に死に続ける!終わることも許されず!存在し(いき)ていた証すら残せず!私には未来(あした)がないと知りながら!何度も死んで、何度も甦って、何度も何度も何度も繰り返して!……私はもうどこにもいない。私はもう誰でもない。この仮想(せかい)にも、あの現実(せかい)にもッ、私の未来は永遠にやって来ない!!」 「違うッ!君はここにいる!今、僕と戦っている!怒りを、憎しみを懐いているのは他の誰でもない君だ!君が単なる記憶データの欠片ならそんな感情なんか持てなかった筈だ!君は君だ、タチバナ・トオカとして確かにここに存在し(いき)ているのに──それでも君は!『未来がない』と嘆くのか!」 黒き光が仮想(せかい)を千切る。 黒き翼が現実(せかい)を砕く。 ワールドハッカー──それは還れなかった最後の漂流者。 だから僕はもう一度剣を執る。 君の想いに応えるために、もう一度、世界を超えよう。 【Over//World -the Last Drifter-】
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