かにもん

ご報告が遅れましたが、7/21に河出書房新社様より発売されました「5分間で心にしみるストーリー」に拙作、「記憶銀行」が収録されています。 掲載順は二番目です。送りバントを決められれば本望です。 これまでいろいろな短編を書いてきましたが、その中でも本作(記憶銀行)は、かなり思い入れのあるお話です。 少し遅いかもしれませんが、あとがきのようなものをここに書いてみようと思います。 「記憶を失った私の前に現れた人」という妄想コンテスト(以下、妄コン)のテーマで、私が考えたプロットは三つありました。まず一つ目として「記憶争奪」という話です。 記憶喪失の男女各一名が密室で、記憶を取り戻す権利を賭けて脱出ゲームをするという内容でした。オチはかなりあっけないもので、あらすじを読んでわくわくできる方は納得しないと思います。 このプロットを採用しなかった理由は、誰でも思いつきそうだったからです。 二つ目は、「*を取り戻して」という話です。「*を目指して」というギャグ短編が妄コンの準大賞を受賞して間もないころだった(と、思う……)ので、それの関連作です。 内容としては、「*を目指して」のとある人物が記憶を失い、「ケツの穴ソムリエ」を名乗るヘンタイ二人組の力を(借りたくないけど)借りて、記憶を取り戻すという話でした。いずれ書くかもしれません。 三つ目のプロットが「記憶銀行」です。まず、記憶って偶然ポンポン失って良いものなのか?という疑問がスタートでした。記憶を失うことが偶然ではなく、なにか理由があって失うのであれば、面白いプロットが書けそうだと思いました。 記憶を奪われる話というのは割とよくみます。では、自らの意思で記憶を失うのはどうか。ここまでは誰でも思いつきそうだ。もうひとひねり必要か。 では、銀行のように、記憶を預けるのはどうか。記憶を銀行に預けたり、引き出したり、借りたりできるのはどうだろうか。記憶を預けた瞬間、「記憶を預けた」という記憶が預けられてしまうのであれば、主人公は記憶を失ったと錯覚するはずだ。 この設定を思いついてから、ラストシーンが浮かび、すらすらと書くことができました。 そろそろ千字に到達しそうな予感がしますのでこの辺でやめておきます。最後に唐突ではありますが、5分シリーズをどうぞよろしくお願い申し上げます。

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