水城

青春文学賞の発表画面から飛び、一気に読み終えてしまいました。 書架に隠れるようにして、なにかから図書館へと逃げ込んだことがあるひとなら、きっとわかる。 紙のにおい、薄く隔たるように外界から守られた空気。 でもそこは、現実から隠れて、このままずっととどまっていたいと思っても、閉館時刻にはどうしても去らざるをえない場所で。 現実から永遠に逃げ続けられるわけじゃない。かならず「読み終わり」があることもまた教えてくれる。そんな場所。 図書館のすべてが描き尽くされているお話でした。 ほのかちゃんが、この場所で過ごしたのは、長い人生からみれば、ほんのわずか一瞬のこと。 でも、この一瞬は生涯、彼女の心の中で、別格の特別の何かであり続けるのでしょう。 極上のYA文学作品であると同時に、これまで作者さんを支えてきたのであろう、たくさんの児童文学作品のブックガイドでもあるお話で。 本当に、さすがの大賞作品でした。 最後になりますが、この度は、受賞おめでとうございました。
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山本さま、たくさんほめていただいて、身の置き所がありません。ありがとうございます!
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