未知春生

教師と生徒、BL、という言葉を軽々しく冠するには余りある、密度の濃いものが描かれた作品。 文字を追っていると情景が浮かび、登場人物の感情が自分の中に入り込んでくるような臨場感です。作者様の魅力をぎゅっと濃縮したような短編でした。 前半では、秋の夕方、思い合う二人が熱く滾る感情を迸らせぶつけ合うシーンを切なく描いています。 一方後半の前日譚の季節は初夏。双方それぞれ胸に秘めた思いを懸命に抑える様が何とも官能的です。 まだ青々しい初夏と、熟した秋。 季節の移り変わりと感情の変遷が、うまく対比されています。 特に秀逸だったのが、後半で驟雨に見舞われるシーンでした。 突然の雷雨は、胸に秘めた思いをやがて押さえきれなくなることを予感させます。 また、魅入られたように雨をみつめる千景は、それに絡め取られていくことを暗示しているようでもあります。 対して、何故雨が降ることが解ったのかと問う貫井はやはり大人で、冷静で理性的でした。子供と、大人。そんな対比も見えました。 目に見える情景だけでなく、目に見えないこれだけのものを描き出す作者様の筆力には、毎度ひれ伏したくなる思いです。 素晴らしい作品を読ませていただきました。
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未知さま、こんばんは。 何と! 「白夏の檻」に最後までお付き合いいただけただけではなく、 またもやこんなにもったいないほどの素敵なレビューを お寄せくださってありがとうございます!(*´▽`*) 今作も、短編でありながらがっつりBL(笑)だったので、 未知さま、大丈夫だったかなあ、とひそかに心配していたのですが、 杞憂どころか、まさかこれほどまで深く読み解いてくださっていたとは! しかも、いつもながらめっちゃお褒めいただき嬉し恥ずかし(/ω\) 実は青嵐は、白夏が終わったあとに 読者さまからのリクエストで急遽書き下ろしたものなので季節的には逆になるのですが、 白夏で謎と言われた(笑)貫井の突
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遊木様、おはようございます。 白夏の檻、素晴らしかったです。遊木様のどの作品もそうですが、言葉を紡ぐことで、その向こうに広がる世界を自在に描かれているのがいつも本当にすばらしいと思います。 レビューや感想を書くと、とても陳腐になってしまって、むしろこれは貶めているのではないかと申し訳なくなります。でも、言外のもとのしてしっかりと感じさせていただいていることはお伝えしておきたいです。 熱い思いを秘めた千景の、痛い程に張り詰めた胸の内、今にも暴発しそうな危うさ、切ない程の未熟さや純粋さなど、色々なものを感じました。そんなものを余すところなく書き切っていらっしゃったと思います。すごいなぁと感動すると
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