潜水艦7号

完成しない絵
主人公は絵を描きます。 亡くなった、大事な恋人の絵を。 決して忘れないように、まるで冷凍保存でもするかのように。 だがそれは、恐らく永遠に完成しない絵である事でしょう。 かのダビンチも、モナリザのモデルとされるリザ・デル・ジョコンドの絵を終生に渡って加筆し続けたと言います。 思い出が多すぎて、表現すべき事が多すぎて。 決して完成しない絵になる。 むしろ、完成した瞬間に『風化』が始まるのだとすれば。 完成しない事こそが、完成なのかも知れません。 そんな、しんみりさせてくれる作品です。
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レビューありがとうございます! どんなに想いを詰め込んでも絵の中に閉じ込めてしまえば、形は残っても思い出は消えていってしまうかもしれないですよね。 彼女はそれを悟っていたから別れ際に「描かないで」と告げたのかもしれないですが、彼が気付くのはきっとまだ先のことなんだろうと思います。 せめて彼の人生が納得のいくものになればいいのですが。
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