鹿茸

非凡なる名作。ぜひ映画化して欲しい作品
ひとまず読み終えたので、レビューさせていただきます。 部活での事故に負い目を感じて、ずっと足踏みしていた主人公と、自分自身を圧しすぎて笑うことすらままならなくなってしまった少女、そしてその二人を結びつけるのは、よく喋る妖の猫。3人のキャラと、その葛藤、成長を基点として描かれるジュブナイル青春ストーリー。 主人公と少女のキャラ造形の完成度が高く、思春期の複雑な悩み(過去の軽いイジメや、事故以来、ずっとこべり着く罪悪感など)を非常にリアリティある描写でビリーバブルに描く事に成功しており、それに付随するオカルト要素も喋る猫であり、メンターでもあるサクラの存在のお陰で無理なく物語に絡めており、関心しました。情緒回りレトリックの美麗さは、宮崎駿さんの作品を彷彿とさせ、説得力がありました。 世界観も奥深く、美しいものも醜いものも、創作というフィルター越しに現実が見えそうなまでにありありとそこに存在していて、筆者様の繊細な感受性が伺えます。 それらを背景に進んでいく物語の中で、二人が互いを想う余りに衝突やすれ違いを繰り返しながらも、共に手を取り合って壁を乗り越えていく過程が、読んでいて心が暖かくなる作品でした。 この作品に出会えて心から幸せです。
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