依田文子

向き合う心
舞台は北国の海のある町。 弟の拓に向ける態度とは違い理都にだけ厳しい母。そんな中、実家と距離を置いて祖父の家で暮らし始める理都。北国ならではの朝食シーン、温かい方言、じっちゃんの優しさを感じながら物語の世界観にストンと入り込んでいきます。母には言えない理都が抱える心の内は手紙に書き記して渡せないまま捨ててしまう。そんな孤独や苛立ち悲しみを、太陽のように温かく照らして溶かしてくれる朝陽。意識していく恋心。すれ違っていく想い。母に告げられる真実。 様々な痛みと向き合う中で感情を伝えることの大切さをこの物語が教えてくれます。 何より心温まるストーリーと描写性が素晴らしいです。多才な文章力で物語のジャンルを飛び越えて素敵なお話を次々に紡ぎ出す里胡さんを尊敬します。これからも応援しています。
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