絶対に推薦したい一級の青春小説!
 作者は純文学作家であり、この作品は純文学作家としての作者の力量を最大限発揮し、主人公の心理描写を中心にして絶妙な巧さで展開していく。  私が非常に心を動かされたのは、主人公の心にある「憧れ」と「恋愛」というふたつの明確に区別された感情である。  私たちの青春の頃の恋愛経験を振り返ってみよう。  後から振り返ると一種の憧れであり、正式な意味での恋愛感情ではなかったと気がつくことがある。  多くの場合、結婚へと発展する「恋愛」というものは、甘くロマンチックな「憧れ」とは一線を画し、快楽、欲望に溺れる一方で冷徹に将来を見据え、時に経済的な打算も考慮された生々しい感情である。  それは多くの人の場合、十代の学生時代にはハッキリとは自覚していなかった感情なのである。  主人公は未だ「憧れ」と「恋愛」の明確な区別が出来ない他の友だちとは違い、既に「憧れ」は「恋愛」ではなく将来の結婚には結びつかないとハッキリ自覚している。  完璧な教師と考えている従兄に向けられた感情とは、自分を高め理想の人間へと昇華していくための「憧れ」。  恋人に向けられた感情とは、近い将来の肉体関係、そして将来的な結婚に結びつく可能性を秘めた生々しい「恋愛」の感情。  だが彼女の恋人も親友も、他の友だち同様、「憧れ」と「恋愛」の区別が分からない。  彼らは主人公の従兄に対する感情が決して肉体関係にも結婚にも発展しないことを理解できない。  だからこそ恋人も親友も見当違いの嫉妬の感情を従兄や主人公に向けるのである。  青春時代を舞台に、「憧れ」と「恋愛」のふたつの感情を巡って起きる感情の軋轢や誤解、希望と絶望がこの小説のテーマである。  主人公を大きく動揺させるのが「恋愛」ではなく「憧れ」の破綻というところに、この小説の秀逸さがある。  自分の手本とする「憧れ」の対象であった従兄の禁断の「恋愛」を知ったとき、彼女はめざす理想を失い当惑し動揺し混迷する。  「憧れ」と「恋愛」を明確に区別していた主人公だからこそ最後に味わう傷心は、青春の真っただ中に生きる若者たちに多くの示唆を与えてくれる。  「憧れ」と「恋愛」の区別を知っている大人の私だからこそ、この作品を多くの若者に考えながら読んで欲しいと心から思っている。
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倉橋さん こんばんは、未知乃です。 お礼が遅くなってしまいました。 もったいないほどのお言葉、そしていつもご高覧、応援ありがとうごいます。 初心忘れずにこれからも精進してまいります。 次作、少しお待たせしてしまいますが、楽しみにお待ちいただければと思います。 あ。あゝー!少しご意見伺いたいことがあったのですが、忘れました! 思い出したらお願いすると思います。その際は何卒よろしくお願いいたします。 未知乃みちる
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 思い出されたら!あの作品、どんどん宣伝して下さいね。本当に若者の気持ちに沿っているから‼︎

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