はーこ

殺し屋×刑事 異色のコンビが駆け抜けるハードボイルド・ミステリー
海外ドラマや外画はあまり観たことのない人間です。アメリカを舞台にしたミステリーを、新鮮な気持ちで拝読させていただきました。 ヒロインのリサが恋人からフラれるシーンからストーリーが始まりますが、冒頭から引き込まれます。登場人物たちの皮肉った台詞の応酬や描写が印象的で、さりげない状況説明や伏線の張り方が秀逸です。リサの仕事に対する姿勢がストイックですし、作品を通して、スタイリッシュな雰囲気です。 同僚の刑事が殺害された事件で犯人を追っていたリサが捜査を外されたと思えば、目の前に現れたのは事件の核心に迫る人物、ジョン。殺し屋と刑事というまさかのコンビの誕生に衝撃を受けました。 ジョンがリサに提示したトロッコ問題は私も耳にしたことがあります。ポイント分岐をするレバーを左右どちらにも倒さなければ、トロッコはそのまま脱線して全員助かる──という『第三の選択』を聞いたこともありますが、人はトロッコのように簡単には行きませんよね。リサが求められるのは左と右、どちらを選ぶのかというふたつの選択肢のみ──そして、それによる犠牲が出ること、その結果がもたらす未来までもを見通す、責任と判断力なんですよね。考えさせられます。作り込まれたストーリーが魅力的な、ハードボイルド・ミステリーでした。
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