鷹取 はるな

空征かば
(以下、P3~5までを読んでの感想となります) 私が読まさせて頂いた箇所は本作品の主人公の勝時と彼の最愛の人である浩太との、まさに出逢いの場面でした。 「朝ご飯のトーストをくわえて何時もの住宅街の角を曲がったら、勢いよく運命の相手とぶつかった!」くらいに破壊力があるその場面は、是非ともお読みになって確かめてみてください。 インパクトは絶大です。 作者様からは、指定文字数の関係で「P4は読み飛ばしていただいても大丈夫です」とのお言葉を頂いていました。 しかし、私はこのP4こそに強く烈しく心を惹かれました。 短いながらも、淡々としていて実に切なく仄暗い――。 前後のページは、挟んだ箇所と対照的なまでに長く饒舌に感じられました。 そして何よりも、朗らかで明るい。 私には勝時と浩太以下登場人物たちが皆、生き生きとキラキラと輝いて見えました。 扱っている題材が題材だけに、挟んだP4との差も相俟って哀しいくらいでした。 「あらすじ」とP4とから察するに、勝時は空に散り海へと抱かれた浩太の帰りを未だに待ち続けている・・・・・・ 私が本作品を読んで思い出したのは、万葉集から引かれ戦時中に用いられていた「海行かば水漬く屍。山行かば草生す屍」という言葉です。 この言葉はさらに、「大君の辺にこそ死なめ。かえりみはせじ」と続きます。 勝時は浩太に大君の辺、傍などではなく自分の隣で逝ってほしかったのではなかったのか? ――叶うことならば、自分も共に逝きたかったのではないか? 我が身を顧みることをよしとされなかった時代にでも、大君ではない誰かを愛することはけして止められなかった。 私はそう信じて止みません。 深読みを失礼致しました。
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鷹取様 コメントありがとうございます! とても丁寧でそして各所に言及していただいた内容が嬉しくて、何度も何度も読み返しました。 出逢いのシーンは我ながら気に入っているので、トーストの殿堂入りシチュエーションで例えていただき光栄です。そしてそれをチョイスなさる鷹取様のユーモアセンスにクスっと笑顔にさせていただきました。 またP4についてもお読みいただきありがとうございます。 現代パートの空気感の違いにまで着目していただき感謝の気持ちでいっぱいです。 そして、海行かばを引用した感想。 「我が身を顧みることをよしとされなかった時代にでも、大君ではない誰かを愛することはけして止められなかった。」 と
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わざわざご丁寧にありがとうございます! 好き勝手自分勝手に書き連ねた感想に感無量です。 出逢いの場面でもう一つ思い付いたのは「天空の城ラピュタ」でした。 ――だいぶ異なりますね(笑) 御作の時代背景には寡聞にしてけして詳しくないのですが、「海行かば」はその鮮烈さ故に心に残っていた言葉です。 烈しさと同じくらいの哀しさを感じました。 現代パートでの海の場面で連想致しました。 是非とも、続きを拝読させて頂きます<(_ _)>

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