FINAL LAP
モータースポーツの世界で戦う青年と、二人の「兄」のかけがえのない絆を描いた、短編小説。 どの世界でもトップクラスに君臨する人間は、並外れた才能とたゆまぬ努力を持ってして戦います。 その上で、そこを越えた部分が勝負を決める。 そんな緊迫感の中で起きた悲劇は、主人公と二人の「兄」に大きな喪失感を与えました。 それでもこの作品に、冒頭から暗い印象を与えないのはメイン登場人物の彼らに優しさと信頼が垣間見えていたから、です。 スピード感を感じさせる文章で、その世界のトップクラスの実力の持ち主であることをわからせてくれているので、悲劇の後も彼らが腐ることも折れることもなくモータースポーツの世界で戦い続けていて、きっと心根でこの青年と「兄」が通じ合っていたことが、読者は読み取れるのです。 大きな喪失感を越えて得た、二人の互いの慈しみと男らしい価値観が、終盤できらびやかに表されていて、爽やかさも感じるラストシーンで穏やかに感動できる作品でした。 とても素敵な作品、ありがとうございました。 (投稿協力:雫倉紗凡)
3件

この投稿に対するコメントはありません