しのき美緒

舞子とケイティの物語
ヒロインの舞子は脚本家。勉強をし直すために、ひとりロンドンに来ている。 好きな男性も脚本家。しかも成功を手に収めている。そのひとと同等でありたい、自分を対等と認めさせたい、実績を作りたいと肩ひじ張って頑張ってしまう舞子が痛々しい。 ルームメイトのケイティは励まそうとするが、その親切すらおせっかいだと切り捨ててしまう。 ケイティのほうはわが道を行くスタイル。焦って実績を求めようとはしていない。それがまた舞子には癇に障ってかなりとげとげしい。 そのとげとげしさが感情的で当たり散らして発散されるのであればまだしも、脚本家という性質上、なんでも分析してしまって――自分の行動に隠れた心理とか、あざとさとか――どんどん身動きが取れなくなっていく。 孤独に苛まれていく。めんどくさいひと、舞子。 けれど根気強く舞子を励ますケイティのおかげで舞子は立ち直り、舞子の明るい未来が(少なくとも恋愛においては)暗示される。 ところで、表向きは舞子の物語なのだが、本編の隠れた主役はケイティである。嫌がられていることくらいはわかっているだろうが、舞子を慰めようと声をかけ、外に連れ出し、恋を応援する。この寛容さはお国柄の違いによるものなのか人柄なのかははっきりとはわからないが、彼女の存在が始終、暗くなりがちな作品を明るく照らし、ほっとさせてくれる。 美しいロンドンのクリスマスの光景と、ホットワイン、それによって次第に舞子のかたくなな気持ちが溶けていく場面は静かで美しい。
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しのきさん、 お返事遅れてすみません。 たっぷりの感想、ありがとうございます。 私が思った以上に色んな読者の方に好かれてるケイティですが、中でもしのきさんが一番かもしれません(^^) でも、そこまでみんなに好かれる一人を描けたのは作者としても大満足な結果です。 温かく美しいクリスマスストーリーを一編書けました。 ケイティいついて以外にも新しい発見がありました、感謝です! 再度ですが、アドベントカレンダー企画お疲れ様でした。 しのきさんと皆さんのおかげで贅沢な物語のアドベントとクリスマスになりました🎄 また縁があればその時もどうぞよろしくお願いします。 小波
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