昭島瑛子

ケアをする人、される人
障害を持ち、言葉によるコミュニケーションが難しい安吾(だんご)。学期ごとにクラスメイトの1人がだんごのお世話係に任命され、二学期にお世話係になったのは知沙。知沙は障害を抱えた母親の介護を、周囲には黙ったまま続けています。 家では母の介護をし、学校ではだんごのお世話係をする知沙は「ケアをする人」です。だんごのお世話係になった生徒は通常なら時間をかけて意思疎通ができるようになるはずなのに、言葉を話せない母を介護している知沙は最初からだんごの気持ちを汲み取ります。 しかしだんごも、ただ「ケアされる」だけの人ではありません。言葉でのコミュニケーションが難しいだんごは周りをよく見ているからこそ、友達には母の介護をひた隠しにしている知沙の異変に気づき、手を差し伸べようとします。 老人や障害のある方の介護や小さな赤ちゃんの育児は非常に大変なことです。身体介護による疲労や命を預かるプレッシャーもさることながら、一番大変なのは「ケアをする相手と言葉による意思疎通がはかれないこと」なのではないかと思います。 私がこの作品でもっとも心を動かされたのは85ページの最後に書かれた知沙の思いです。 この思いがあればきっと世界は優しくなれる。そんなことを考えさせてくれる物語でした。
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昭島さん、ありがとうございます! ずっと昭島さんに教わったことを見直しながら書くようにしています。実はあのときに書けなかったお話も書いています。 なので、こうしてご感想いただけて幸せです(*´ω`*) 知沙の感情はわたしもとても大切なものだと思います。
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優しい山城さんだからこそ書けた物語だと思いました。 こちらこそ素敵な作品を読ませていただきありがとうございました!
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