見逃せない「両片想い」
 穏やかで素朴で心優しい主人公の女性と、仕事の出来るキラキラでキレキレな同期の男性との、もどかしくて見逃せない「両片想い」を、小気味良く心地良い会話と緻密に練られた構成で描いた、長編恋愛小説の傑作です。  29歳。社会では若手でも、それなりに酸いも甘いも知り腰も落ち着き始める年代にある二人。同期という繋がりがありつつ、就職から適当な距離感で、「引っ掻き傷」のような出来事から僅かに意識していました。この物語の中では、その二人のみならず同期や家族、友人や信頼する仕事仲間とのかかわりから、きっかけやヒントが生まれ、意識や関係性は少しづつの変化を見せていきます。  そのジリジリ感やヒタヒタ感は長編を読むには本当に大切で、緩い上り坂を登るような、徐々に息苦しく胸がドキドキする度に頂上への期待と憧れが高まる感覚が本当に楽しかった!  エピソード一つひとつも、激しい出来事も穏やかな出来事もキャラから逸脱したものは何一つ無く、苦しさや興奮やワクワク感が自然体で入り込んで来ました。  そして、会話の組み立てがすごい「上手い」という印象。緊迫感あるやりとりのドキドキも仲の良い同士のワイワイも、他にも○■△な場面も共感性が高く、少しズラした面白さや小オチも面白くてオシャレです。  個人的には、親友夫妻に同期への恋心がリラックスした会話の中でうっかりバレてしまう所なんかは、もうすごい私好みでゾクっとしました。  クライマックス以降、頂上に辿り着いた両片想いの結実(けつじつ)は、思いのほか長い幸福感を得られます。スタ特のおかげもありますが、未来が見える、まさに「多幸感」しかない結末は、読後感としては最高なんじゃないかと思いました。  殆ど長編は読まない私が、著者様の作品はこれで二作を読了。これはハマりましたね。独特の言い回しや展開と構成、癖になっちゃうんだよなあ。  この作品の登場人物に読書期間中ずっと触れていた気分なので、もう会えなくなるのはちょっと寂しい。そのくらい読むのがワクワクする長編でした。  まだ未読の方は、この見逃せない「両片想い」と「その先」を、ぜひ体験していただきたいです。  違う形でもまたこの作品に触れたい夢を見つつ、しばらくはウタさんと冴島さんのその後について、私の脳内未来妄想は続けさせていただきますw  素敵な作品、ありがとうございました。
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とこさん✨ 改めまして、素敵なレビューを本当にありがとうございます😳✨ じりじりとワクワクの両片思い、楽しんでいただけて本当に嬉しいです😊💕  冴島君はなんでも器用にできてしまう男なので、ウタのようなヒロインを守るヒーロー、みたいなのが一般的かもしれないけれど、ウタはウタでとてもしなやかでタフな人で、そんなウタが自由に気持ちよく泳ぎ回るのにそっと寄り添える冴島馨介でいてほしくて、そんな思いがタイトルに込められております😊 とはいいつつ、中谷ととこバージョン、俺様なんですが、強気な発言などなくても多少情けなくても、俺サマに見えましたか?😂 スター特典も読破してくれたのですね😆📖👓️ きっと今
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