まき乃

人間の深い部分
 まず出だしから最後の結末までの話の運び方が見事だと思いました。前半のゆったりとした感じから後半の怒涛の展開に驚きました。でも、なぜか違和感をあまり感じることなく読むことができました。それは、文章の流れが美しく、説得力があるからだと思います。途中に出てくる美術のエピソードも素晴らしく、美術について勉強したんだな、ということが伝わってきました。  みんなから忘れられるアリカの心情に心がえぐられるようでした。恋愛感情がわからないアリカは恋よりももっと深い感情を得て消えていったように思います。  不思議なお話でしたがホラーという感じはしませんでした。人の奥底にある複雑な形のないものを描いていると思います。

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